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ふたつの蕎麦

蕎麦は美味いと不味いのふたつしかないと思っている。

勿論、他の食べ物でも同じことだが、特に蕎麦はシンプルなものだけに強く感じるのかも知れない。

どんなに店構えが立派でも、こだわりや薀蓄、あるいは能書きから枕詞の類が充実していても、やはり不味い蕎麦は腹が立つほど不味い。お金を払って食べたのだから多少の我儘を書かせていただく。

昨日、立ち寄った安曇野の「御法田」の蕎麦は本当にいけない。すべての悪い要素が揃っている。さらに対応までが雑では、この店の前を通る度に嫌な過去を思い出し、苦痛である。

かたや、一昨日立ち寄った穂高有明の「栄作」は田圃に車を落としそうな細い道の先、赤松に囲まれた辺鄙な場所にありながら、実に謙虚さを持って蕎麦を大切に打っているのが、一口すすればすぐに伝わってきた。

対応も同じものが重なら無いようにと親切に説明して、客の食べられる分量まで考慮してくれる。未だ味わっていない、名物のかじかのから揚げと蕎麦を食べに、再度車を走らせたいと思わせてくれた。これこそ、ものを食べることの原点、それを提供する人となりを感じること、味わう出会いの幸せに包まれたことを何度も思い出すことに他ならない。
by cantare-so | 2006-03-21 11:23 | 和食
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