冬のパリ、モンマルトルの丘のはずれ。コートの襟をたてたまま、飛び込んだ、小さなレストラン。店の名前が、有名な歌の一節と同じなので興味を惹かれた。
ちょっと、背景も何もかも出来すぎの気はしたが・・・・・
寒かったので、とにかく赤ワインと何か温かいものを、お腹に容れたかった。注文して出てきたのは何と、普通の形と違い、可愛いプチ・シューに包まれたエスカルゴ。「ブルゴーニュ産?」と聞くと、にやっと笑って首を振った。
そんな珍しくて、高級な物が出て来るはずはないのに、ワインの酔いのせいで、馬鹿な質問をしてしまった。
中身はソテーしただけの小振りのエスカルゴ。さっぱりしていて品の良い味。
さて、例の歌の一節を口ずさみながら店を出て、マフラーを忘れた事に気がつき、慌てて戻った。それでもとても良い気分だった。