2009年 05月 03日 ( 1 )

十年振りのブリュッセル、そしてルーベンス

 新年早々、十年振りのブリュッセルに出かけた。
もともとフランスの地方都市と言った印象が強い街だが、通貨もユーロに変わり、ますますその個性が薄れてきたように感じた。
 グラン・プラスに屯する客引きも、中東やヨーロッパ系ではない人が多くなり、雰囲気も安手の観光地のようだ。
イロ・サクレの食物横丁は、さらにしつこい客引きで閉口した。
 美味しいベルギー・チョコレートが日本でも身近に溢れているように、こちら本家の本元でもチョコレート店の出店・支店だらけでコーティングされている。
 「小便小僧マヌカン・ピス」さらに「小便少女」は相変わらず。ランボーとヴェルレーヌが事件を起こしたホテルも健在だが、少し周りが騒がしくなった。
 すっかり高層ビルが立ち、様変わりした北駅近くのホテルに三泊したが、こちらは中国系の経営で何とも不思議な雰囲気。
 ヨーロッパでも屈指の美しいオペラ・ハウス「モネ劇場」の周りも、何だか品が無くなった。チケットオフィスのあった場所が、BARに改装されていてこれまたびっくり、シーズンの演目も活気と魅力に乏しい。
 しかしこう言い立てても、けっして居心地が悪いわけではなく、以前食事をした証券取引所横のファルスタッフは相変わらずで、ドーバー・ソールや鴨のオレンジソースはまさに絶品。
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 街頭で買うワッフルも甘みが勝ってはいるが、やはり美味しい。「嫌いじゃないし、悪くないね」と気取った台詞を吐いてしまう。
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 さて汽車で一時間圏内には、かつてローデンバックの小説で読んだ「死都ブリュージュ」、北のヴェニスの呼び名もある、運河と広場の不思議な魅力を秘めた街がある。今回も冬の雨にそぼ濡れたが、カリヨンと馬車の響きに身を浸すと、古いヨーロッパの時間が流れていた。
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 何と言っても、アントワープが40分余りで行けるのも嬉しい地の利だ。
玄関口の駅舎は優雅で、私の好きな風景の一つだが、これまた10年間のブランクでびっくり、到着したプラットホームが3層構造になり、エスカレーターが交差して地上に。まだ工事途中で変わるかもしれないが、雰囲気の良かったBARも消滅。雑然とした印象に、「アントワープよ、お前もか」
 先ずは、ルーヴェンスのアトリエを目指し歩き出す。チケット・オフィスが道路に出来ていてこれも様変わり。
開館前に着いてしまったので、その先にあるCafeで時間を潰したが、これはゴッホの夜のカフェをディザインした内装。実は今回の旅は、アムステルダムのゴッホ美術館から始まっているので、思わず同行の妻と顔を見合わせにっこり。
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 パリ近郊の、オーベール・シュール・オワーズのゴッホ兄弟の墓を訪ねてから、15年の間にはアルルまで出かけた思い出が甦ってきた。
 
 さて、ルーベンスの工房と中庭、前回見ることが出来なかった「自画像」を巡り、妻の楽しみにしていたノートル・ダム寺院へ。「フランダースの犬」の話はあまりに悲しくて、ましてやアニメはとても見る気にはなれないのだが、ここのルーベンス絵画「十字架昇架」「十字架降架」は劇的で素晴らしく、その格調の高さには圧倒される。
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 寺院を一歩出ると、あまりの人出で何事が起きたのかと思っていると、どうやら今日はアントワープ(アントウェルペン)の日らしい。裏手の市庁広場ではビールやフライド・ポテトが無料の大盤振る舞い。
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  勿論私たちもその恩恵に、ちゃっかり浴し、街中散策と昼食後には、妻に頼んでA(アントワープ市)印のフリースの帽子まで無料で手にすることが出来た。
 こんな芸当は気弱な私ではとても出来ない。
 「女は強し、されど妻はさらに強し!」
 
 ちなみに、この日の昼食は「手長えびのグリル」「ムール貝のワイン蒸し、ムール・マリニエール」
そして、白ワインはガスコーニュのタリケ。
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by cantare-so | 2009-05-03 17:30