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八ヶ岳薪能 思い出深い夏の日

 夏盛りの8月3日、以前から評判を耳にしていた、「八ヶ岳薪能」を見る機会に恵まれた。
それは普段から懇意にさせていただいている、Tご夫妻の心のこもったご招待のお陰で、実現した夢のような二日間だった。
 私たちは三ヶ月以上も前から、胸をときめかせてその日の来るのを待ちわびていた。

 当日の朝、私の運転する車でTご夫妻と妻の四人は、中央高速を快走して長坂ICを目指した。昼食は三分一の湧水近くにある手打ち蕎麦屋。
お茶の時間はブルーベリーと言う、ご夫妻なじみの洒落た店。思わずよもやま話もはずむ。
 開演までの午後の行程、吟味をして選んで下さった宿、上演中の駐車場の手配、翌日の昼食、そしてT氏が手がけ育てた工場見学等、実は今夜の会場身曾岐神社前に、その工場施設があるという、ご夫妻にとって何とも深い所縁の場所が小淵沢だったのだ。
 
 そういえば、 いまだに続いている私の長い山登りの日々、八ヶ岳の縦走の終点は小淵沢駅だったし、他の山に登る時の集合場所でも有った。
ある年は、駅から少し歩いた別荘に暮れから正月を過ごしたことも思い出される。
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 さて、能の上演は心配した夕立もなく、まだ陽の残る炎暑の中、神事の儀のあとにはじまった。演目は「源氏物語」執筆一千年にちなんだ「半蔀」、京都から来演した金剛永謹宗家の夕顔。はさむ狂言は「鎌腹」茂山千五郎の達者が目立つ。

 やっと陽も落ち、涼しい風が吹き始め、篝火が点火されて「葵上」、廣田幸稔の六条御息所。
此処この邂逅に、まさに至福の時間があった。
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 身曾岐神社の能楽殿は、赤松の神域を背景にして池の上にしつらえてある。
池に渡された橋の上を、篝火が通る瞬間はまさに息をのむ美しさだった。さらに時間を戻すと、残照が舞台の上に微妙な池の波紋を映し出した数分も、忘れることができない瞬間の持続だったような気がする。

 興奮と盛夏の火照りも心地よく、宿で摂る遅めの夕食にも話がはずんだ。

 翌日も快晴。この日は駅近くにある評判の「井筒屋」での昼食。白焼きと蒲焼が一度に楽しめるうな重に妻の顔もほころぶ。勿論、私も楽しみにしていて、期待通りの美味しさだった。
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 午後は昨夕の薪能の会場前にある、小淵沢では唯一と思われる大きな工場施設へ。
T氏が育て上げただけあって、実に決めの細かい配慮から生み出される、ガムテープの生産ラインを見学させていただいた。妻と私には知らない世界の新鮮さで、興味深く楽しかった。
 
 楽しい時間は、あっと言う間に過ぎてしまう。復路、大した渋滞もなく夕方には余裕の帰宅。
近頃、記憶の欠落に愕然とすることが多い私。「八ヶ岳薪能」とTご夫妻との思い出を、しっかり人生の記憶の一頁に残るようにと拙文を載せました。
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by cantare-so | 2008-08-26 17:02