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山歩きの幸せ

 ここ数年、越後や会津の山に登り、春は山菜、夏から秋は茸を味わうことが、私の生活の重要な部分を占めはじめている。
 今年は妻と、そして親愛なる増渕秀俊君、通称ヒデちゃんと浅草岳に登ることが出来た。この山は昨年に続き私は二回目になる。彼との山登りは30年近くの昔から、八ヶ岳、北アルプス、南アルプス、奥秩父等、どれも思い出に残る山行ばかりだ。一昨年は浅草岳のすぐ前にある守門岳にも登った。
 意地を張りかつては知らずだが、いまだ健脚を誇る彼と、心臓病みと還暦のダブル・ハンデの私では、せめて岩場と雪渓、下りのバランスくらいしか太刀打ちが出来ない。
 しかし、あと何回一緒に行けるのか分からないが、この一回がとても大切なものに感じられる。
 
 以下は彼の山行レポートを転載させていただく。

                 浅草岳(1585m)
 2009.7.31  くもり、晴れ、くもり

田子倉口6:40~山頂11:45、下山12:30~田子倉口16:13

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P.に着いても相変わらず判断しにくい天気。上方はまったく見えない。しかし、前線がすこし下がって前日より回復すると見て出発。登山口から新しい木道が続き、歩きやすいスタート。豊かな水量の沢を橋2本と渡渉2回?で過ぎ、ブナの原生林を進む。コース沿いだけでもブナの巨木が次々と現れ、驚く。見上げて、緑を輝かせ大きく枝を広げる立ち姿に感動し、地中に何トンも保水するしっかり太く根を張るようすを想像し、感謝したくなる。
 傾斜はしだいにきつくなり、延々と濡れた道が続き、足にくる膝にくる腰にくる。背中も痛み出す。そんな中、左右にキノコが現れ始める。孝夫さんはキノコにも詳しい。茶、黄、赤、大きさもさまざまなキノコが登山道脇に顔を出している。真っ赤なタマゴタケを教えてもらい、急に登山道が明るくなったように思われた。いづみちゃんもわたしもキノコ目になってタマゴタケを探す。
f0133771_014840.jpgしばらく進み、カーブしたところで先頭を行く孝夫さんが驚きの声をあげる。足元を見ると真っ赤に鮮やかにタマゴタケが4本、兄弟のように並んで生えていた。今ニョッキと生まれたばかりの、何のけがれもないようなタマゴタケが目の前にあったのだ。3人とも歓声をあげ、喜び合う、大収穫!孝夫さん、袋に入れる。(帰ってからの夕食、チーズ焼きにしたり、ポトフスープに入れたりして、すばらしくおいしくこのタマゴタケをいただく。前日、ヴィラの裏山で採り方をおしえてもらい、摘んだワラビも味噌汁、おひたしでいただく。うれしいかぎり!)
 先を進む。前夜のうちにいづみちゃんが作ってくれたおにぎり3つを、わたしは休憩ごとに1つずついただく。そして、上を目指した。
 日差しはなくても厚い。滑りやすい斜面も多い。しかし、今度は山の花、鳥の声が目と耳を癒す。雲に覆われ眺望は得られないものの、山の豊かさが肌に染みる。しだいに樹高が低くなり花の種類も高地のものに移っていく。が、なかなか着かない。
 初めて人とすれ違う。品のいい老人と「長いですね~」とニコニコ言葉をかわす。鮮やかなシモツケソウを左に見、右にウツボグサの群落を見ると、急に晴れ、青空が頭上に広がった。そこから、山頂らしき小さな祠とプレートを確認。急ぎピークへ。f0133771_04216.jpg
 「ヤッター!」越後と会津、県境の雄、浅草岳に立つ。着いて反対側、ガスの中に見え隠れする美しい小湿原と木道、疲れていても惹きつけられる。ザックを山頂の祠の横に置き、孝夫さん、いづみちゃんが着く前に、ちょっと下りてみる。池塘と木道の脇に鮮やかなイエロー、キンコウカの群落。湿原を黄に染め、天空庭園をさらに魅力的に飾る。
 山頂にもどるといづみちゃんが着く。孝夫さんも着く。心臓を傷めている孝夫さん、最後の斜面も上がって山頂までしっかり登るとは・・・考えてみれば驚異的!
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 さあ、頂上を味わおう。短時間にシャッターをどんどん押す。やがて孝夫さん、わたしを見てコッヘルとカップを差し出す。雪田の雪をとってきて、と。一瞬わたしは「え~っ」という顔をしてしまった。今下りてもどったばかりだし・・・しかし、「はい、いってきま~す」と再び湿原まで下り、コッヘルとカップを持って雪田へ。10分ほど木道を行き、雪渓にのる。遠くから見るより、雪は分厚く広く斜面をうめていた。わたしはカップで雪面を削るように掘り、コッヘルを満たす。ちょっと口にザラメ雪をふくむ。おいしい。きれいな名水の雪だ。雪渓の縁で地元の登山者4人が昼食中。その一人が「写真を撮りましょう」と声をかけてくれる。雪上で一枚。
 ずっしり重いコッヘルを大事に持って、再び山頂に。すると孝夫さんがゆで小豆缶を開けて待っていた。そうか、山頂で氷あずきで乾杯だったのだ。気づかなかった。3人で登頂を喜び、氷あずきで熱くなった体にかき込む。日はわたしたちの笑顔に差し、氷あずきをほどよくとかした。感動的においしい!
 この夏、どんなに不安定な天気が続いても、浅草岳は、わたしたちを豊かに迎えてくれた。
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by cantare-so | 2009-08-18 14:59