![]() パリのシャンゼリゼー大通りにある、ブリュセルと言う名のムール貝専門店はいつも行っても大混雑の繁盛店。人気は白ワイン蒸し&ミルク煮のスタンダード派だが、エスカルゴ風も良いアイデアだと思う。 二枚貝の一枚を外し、スプーン代わりに使って瞬く間に5、6個を口に放り込むと、多分誰でも幸せな気分になれる。(貝嫌いの人を除いて) ここは白ワインよりベルギー・ビールがお薦めで、やや喧騒だが値段も安く気楽なところが良い。 私はムール貝が好きで、訪れたヨーロッパの都市のレストランのメニューから、真っ先にムール貝料理を探し出すのが得意である。イタリアではコッツェと言うが、トマト味のスープ仕立てが、見かけ小さなバケツに山ほど入ってくる。ヴェネツィアでまるで貝塚のように重なって出てきた時は、さすがに驚いた。お蔭で最近では皿に盛ったものは量が少ないと感じる始末だ。 昔、ジャン・リュック・ゴダールの映画で、女がムール貝を食べるシーンがあった。食べ終わった殻を行儀悪く皿に放るのだが、目の前の男の顔や服に汁が飛びはねて、それを執拗に繰り返すのが印象的だった。その頃の私はムール貝など食べた事もなかったから、それがいつまでも記憶の中に残っているのかも知れない。 ルツェルンのイタリア・レストランのズッパ・ディ・コッツェは本当に美味しかった。その後再び行った際に捜したが見つけられず、何かとても心残りだった。パッケージの素敵なバルサム・クリームの店の近くにあったのだが。 ▲
by cantare-so
| 2007-03-06 00:57
| フレンチ
羽田空港の第二ターミナルビルのなかで、一番目立たない場所を、わざわざ選んだとしか思えない隅っこにその店はある。何時行っても列に並ばなくてはならない銀座店とは違い、やや閑散とした感じさえするのは、チョコレートNo1人気の店としては意外だ。
例の1600円のチョコレートパフェはないのだが、アイスクリームは販売していて、店の前で紙カップ一個630円を、じかにフロアーに座り込んだりして2、3人が食べている。 私は搭乗時間まで20分しか時間がなかったので、すぐに店員に注文、 「飛行機の中で食べたいので二個下さい」 「10分ほどして良く練ってお召し上がり下さい」・・・ご親切にどうも、 「それでは飛行機に乗るまでに溶けてしまうので、ドライアイスを入れてください」 「三個からしかお入れできません」・・・あらあら、不親切にどうも、 「お金を出しますので、お願いします」 「三個からにしております」・・・融通が利かないね 「どこかで立ったまま、良く練って食べろという事ですか」 「・・・・」冷ややかな笑いと、顔を見合す店員三人。 その10分後、勿論私は美味しくいただきました。搭乗口前列のベンチに腰掛けて、列をつくっている人達の視線を感じながら、埃っぽい秀逸な環境の中で良く練って口に運び、最終バスに乗り込みました。 これこそまさに美味感懐だったとでも言っておきましょう。 ▲
by cantare-so
| 2006-08-27 11:13
| フレンチ
ラクレットにすっかり嵌っている。
発端は4年前のスイスで、この年は5月と9月に同じ場所に旅行し、アイガーとユングフラウ・ヨッホをまじかに眺めながら、クライネ・シャイデックのレストランで食べた、この二度の味がすっかり忘れられなくなってしまったのだ。 茹でたジャガイモにこのチーズを溶かしてうえにかけただけの、いたって素朴な山の料理だ。円盤型のチーズを半円に二つに切り、暖炉にかざすか、専用の容器に入れオーブンで溶かし、ナイフで削るので、ラクレ(削る)というフランス語がこの料理の語源になったそうだ。 アルプスの少女ハイジが、棒の先に刺し暖炉の火にかざして食べているのが、どうもこのチーズに違いない。アルプスの山を思い浮かべるチーズに、トム・ド・サヴォア、エメンタール、フォンティーナなどがあるが、このラクレットが、やはり私は一番美味しく感じる。スイスのヴァレ州で主に生産されているが、フランスのサヴォア地方にも同じチーズがある。 もともと独特な匂いと濃厚な味が特徴だが、それぞれの生産地で違いがあるようだ。さらに同じチーズでも熟成度により、印象が変わってしまうから、好みの比較は一概に言えない。 あまり高価なものではない辛口の白ワインか、ビールがあれば充分、実際かえってこのランクの物が口に良く合うくらいだ。固く焼いたくるみ・レーズンパンと一緒に、自宅で食べても大満足だが、チーズの値段が日本では、たっぷりかけられるほど安価じゃないのが、やや気にかかる・・・・まあ仕様がないか。 ▲
by cantare-so
| 2006-05-14 11:18
| フレンチ
私はチョコレートが大好きだ。特にゴディバは欠かした事が無く、仕事の後や旅先での疲労回復にと、口にしてはにんまりしている。
有りがたい事に、演奏会の花束が重なってはと、御配慮してくださる方々から戴く事も多い。 プラリネの種類の多さ、トリュフの味も格別の風味に満ちている。カラクのカカオ分の違いを食べ比べるのも、本当に楽しいひと時を与えてくれる。 レオニダスやノイハウスとの味くらべも幸せな気分に浸れる。この時期、バレンタインデーでチョコレートショップは宝石箱のように華やかだ。 エルバンやマルコリーニ、さらに和光の高級チョコを前にすると、魅力に溢れた美人に囲まれた時のようで、我ながら情けなくもだらしなく、しまりがない事おびただしい。こんな事を書き連ねて、何だか催促しているようで嫌な感じだが許して欲しい。 最後にゴディバのシンボルマークを良く見たことがおありだろうか?レディ・ゴディバのエピソードにちなんだ、白馬に乗った裸の貴婦人を。 11世紀のイギリス、夫の伯爵から民衆の税を軽くさせるための約束を勝ち取る為に、裸で白馬に乗り街中を駆け回った勇気に思いを馳せ、チョコの奥深い甘さとほろ苦さを味わうのも、また大人の一興だと思いませんか。 ▲
by cantare-so
| 2006-02-06 11:28
| フレンチ
サンクト・ペテルブルグでコンサート終え、その後ブタペストでは、ゲッレールト温泉で旅半ばの疲れを癒した。今や社会主義時代の面影も無く、さらにEU参加で形ばかりの、ハンガリーとオーストリアの国境を、快晴の秋空の下、ウィーンに辿り着いた。
五月からかぞえて、四ヶ月ぶりのウィーン。 さて、この町に来て数日の短い滞在中でも、かならず一度は口にするのが、グリースノッケルズッペだ。直訳風で言うと、粗引き麦の小さい団子のスープ。あっさりとしたコンソメ味で、胃に優しいところが素うどん感覚で、私の性に合っていて好きだ。スーパーに行けば、クノールのインスタントもあるが、やっぱりうどんと同じでその日の手打ち?と出汁が決め手になる。 何処のレストランで食べても、ソコソコとはいつも感じることだが、今回は格別美味しい味の出会いとなった。 バッハウ渓谷の今年シーズン最後になった舟下り、やや風の寒さに震えながら途中で立ち寄った、ホテル・シュロスデュルンシュタインで出されたグリースノッケルズッペ。ドナウ川の眺望の素晴らしさに譲ることなく、この日、この時のスープの味は記憶に残る、確かな一皿だった。 ▲
by cantare-so
| 2005-09-29 11:31
| フレンチ
マドリッドのプラド美術館で、ゴヤ、ベラスケス、ムリーリョ、エルグレコなど目白押しの絵画のご馳走にあやかった後、夜は王立歌劇場で「カルメン」を鑑賞出来る何て機会は、めったに訪れない事。
ならばオペラハウスのすぐ裏にあるホテル・オペラの部屋で休み、夕方には体力をつけて、オペラ四幕の殺しの二重唱までしっかり見届けなければ。 こんな時は自分がホセを歌う時と同じように、横丁の肉専門店レストランに飛び込み、肉、それも最低300g以上のリブ・ステーキに岩塩と胡椒だけを振り、赤ワインと一緒にポーコ・エーチョ(ミディアムレア)で口の中に無理矢理つめこんで座席に向かう。 結婚後、妻も私も、我が家では、コンサートの本番前には、ぶ厚いステーキを食べるのが習慣になっている。オペラは演奏するのも、鑑賞するのも体力がとても必要。こんな調子でヨーロッパ各都市の牛肉ステーキの思い出は、オペラの演目と、そして歌手達の良し悪しの声に繋がっている。 さて帰国して、自宅で肉を焼くのは。勿論男の仕事と心得ているが、生山葵、エシャロットを摩り下ろしたバターソース、最後に京都の黒山椒。これはもう決まりだ! さっきからうろうろしてどのワインを開けようかと、私は迷いに迷っている。 本日のオペラの演目は、私の鼻歌程度にして、気楽に杯を飲み干そうか。 ▲
by cantare-so
| 2005-06-13 11:34
| フレンチ
30年近くも前の冬になるが、初めて憧れのパリに夫婦で行き、慣れないフランス語で行き先を告げ、すっかり日の暮れたリュクサンブール公園の角で、タクシーを降りた。限られた時間で、カルチェラタンで食事をし、地下鉄でサンジェルマン・デプレ教会のアポリネールの石像を見れば、私は充分に満足だった。
さて街角の小さなレストランでメニューを開いたまでは上出来。 しかし、肝心の品書きが可愛らしく装飾した花文字で判読不能。めずらしく不安げな妻の手前、しっかり注文しなくては、と思いつつ安直に定食を頼み、勧められるままビーフ・ステーキ。出て来た肉の何と硬いこと! ああそうだった、フランスの牛肉は確か硬いと聞いていた・・・。これは美味しいか不味いかとは違う、思い出に残るステーキになった事は間違いない。 それ以来、何度も訪れたパリでは、肉料理好きの私達夫婦にとって、ビーフステーキは特別思い入れの深い一品になっている。 ▲
by cantare-so
| 2005-02-16 11:41
| フレンチ
立派で、雰囲気があり、ヨーロッパ汽車旅行の、いかにも旅情を誘うアントウエルペンの駅舎を背にして、私の心は二つの期待で躍った。
一つはルーヴェンスの絵を見ること、もう一つは美味しい食事で、その絵の余韻に浸ること。 駅から真直ぐ、大通りの歩行者をすり抜けて左に曲がると、アトリエに着いた。何度も頭の中でシュミレーションしていたので、迷うことなしだ。 さて次はいよいよノートルダム大聖堂に。しっかり拝観料を取られたが、二枚の絵の前で放心状態。どっちが十字架降下で、昇架なのか混乱・・・・ さてその後は、旧市街の路地を彷徨って辿りついた、レストラン「ヴァン・ダイク」。その趣味は無いが、美青年でも有名だった画家の名前。 確か鴨の料理を食べたはずだったが、味覚は完全に先程の感動に押し込められて、いまだに思い出せない。 余韻を味わうとは、このことだったのでしょうか。 ▲
by cantare-so
| 2005-01-31 11:42
| フレンチ
冬のパリ、モンマルトルの丘のはずれ。コートの襟をたてたまま、飛び込んだ、小さなレストラン。店の名前が、有名な歌の一節と同じなので興味を惹かれた。
ちょっと、背景も何もかも出来すぎの気はしたが・・・・・ 寒かったので、とにかく赤ワインと何か温かいものを、お腹に容れたかった。注文して出てきたのは何と、普通の形と違い、可愛いプチ・シューに包まれたエスカルゴ。「ブルゴーニュ産?」と聞くと、にやっと笑って首を振った。 そんな珍しくて、高級な物が出て来るはずはないのに、ワインの酔いのせいで、馬鹿な質問をしてしまった。 中身はソテーしただけの小振りのエスカルゴ。さっぱりしていて品の良い味。 さて、例の歌の一節を口ずさみながら店を出て、マフラーを忘れた事に気がつき、慌てて戻った。それでもとても良い気分だった。 ▲
by cantare-so
| 2005-01-03 11:43
| フレンチ
クリスマス近い冬のパリで、魚介類盛り合わせを前に、白ワイン(シャブリやムルソー)を楽しむのは、いつも心ひかれることです。
しかし特急タリスで食都ブリュッセルまで足をはこび、ベルギービールで口をしめらせて、ドーヴァー・ソール(舌平目)を食べるのは、さらに心が躍ります。 キリスト誕生のクリッペンの飾りつけで、さらに美しさをましたグラン・プラスを横切り、古く風格ある証券取引場の建物をめざし、さて一人で食事をしているマダムの斜め前の席に案内されて、目が合えば勿論最高! 但し、美人であまりおしゃべりでない事を条件にすれば。 ▲
by cantare-so
| 2004-12-13 11:44
| フレンチ
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