1
夢のまた夢と言うか言う前に、季節が通り過ぎてしまった。
暖冬の今年、三月半ばの会津に大雪が降ったと聞き、慌てて車にスタッドレス・タイヤを装着して、塩原、山王峠、会津田島、湯野上、芦ノ牧を抜け、東山温泉を往復した。 ![]() やはり大内宿には立ち寄らないわけにはいかない。雪囲いをした脇を抜け三澤屋の引き戸を開け、炭火のはぜる囲炉裏と長火鉢の前にどっかり座り込み、長ネギをかじりながら高遠蕎麦を食すと、ゆったりとした暖かさに包まれてくる。 ![]() さらに宿内の中野屋に寄り蕎麦がき汁粉を注文。ふっくらとした蕎麦がきのこつは、女将の話だと、腱鞘炎になりそうだと言うくらい、物凄い速さで掻き混ぜるのだそうだ。土産にそば粉とハットウを買ったが、私のような無精でのろったい者は、とても美味しい蕎麦がきはつくれそうも無いと思った。 春の彼岸の墓参に行った。秩父盆地を見下ろし、武甲山を前に望む松風山音楽寺に、私の父が眠っている。4月18日の観音祭の頃は、御堂と父の墓の上に桜の花びらが風に舞い、何とも云えぬ良い景色になる。昨年のことを思い出していた。 父とふたり肩を並べて花見酒をしたいが、まだそんな時が訪れない。「また、いずれ一杯」と父に声を掛けて墓参りを終了する。 春の彼岸、お盆、秋の彼岸と、年に3回しか行かない親不孝の私だが、近頃めっきり足腰の衰えた母と、帰りには必ず手打ち蕎麦「和平」に立ち寄るのが恒例だ。鬼皮を多く挽き込んだモソモソとして喉ごしの悪い蕎麦だが、これを濃厚なクルミだれにつけて食す。ツルリ喉ごしの良い江戸前の蕎麦とは正反対だが、なかなかクセになる。 親戚の結婚式がある四月初旬、京都の白河の桜はすでに水に散り流れ、円山公園のしだれ桜も静かな時を迎えていたにもかかわらず、私はさらに北山の桜をもとめ、妻と共に花見を楽しんできた。 帰宅後、すぐに今夏のコンサートの打ち合わせに駒ヶ根まで行き、ついでに十年数年振りに立ち寄った高遠の桜の素晴らしさに声をあげた。 散り際のコヒガンザクラの美しさには、ただただ見呆けるばかりだった。 今年は東北まで桜前線を追いかけられないと諦めていたが、これで本望だとしよう。 さてこのあと、「すべての道は蕎麦へ通じる」はつづくことに致します。 ▲
by cantare-so
| 2007-04-29 09:10
1 |
カレンダー
最新の記事
カテゴリ
以前の記事
2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2015年 12月 2015年 07月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 06月 2011年 08月 2011年 04月 2010年 10月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 01月 2009年 10月 2009年 08月 2009年 06月 2009年 05月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 05月 2008年 01月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 10月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 06月 2005年 05月 2005年 04月 2005年 03月 2005年 02月 2005年 01月 2004年 12月 2004年 10月 2004年 09月 2004年 08月 検索
お気に入りブログ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||