夏のヴェニスはかなり蒸し暑い。日中、涼を求める方法はオンブラ(木陰)の下のカフェで風の吹くのをひたすら待つか、観光客の来なくて、天井の高い教会の、礼拝堂の椅子に座って、じっとものを考えないにふける。
そして人の少ないジュデッカ運河に面した、風の吹き抜けるレストランで、遅めの昼を二時間以上かけて居座り続ける。 ヴァポレットの乗り場近くのレストランで、注文した「ガンベロ・グリリア」(車海老の塩焼き)は、大きなスタンドに何本も吊るされて豪華そのもの、でも値段は目が飛び出さないから、口元がついゆるんでくる。 さらに水代わりのフラスカーティをよく冷やしてもらい、あとは時間が風に連れ去られて行くのを、頬杖をついて見るだけ。ヴェニスの幸せ。 #
by cantare-so
| 2004-09-05 11:48
| フレンチ
「真正ナポリピッツァ協会」の公式レシピ会員番号一番の店は、歌声が世界一美しく響く「ナポリ・サン・カルロ歌劇場」のすぐ近くにある。
名物の「黄金のピッツァ」を注文すると、私は黄金のトランペットと呼ばれた、世界的テノール歌手「マリオ・デルモナコ」を連想してしまう。 大きくてお皿いっぱいにのせられた豪快なピッツァ様は、彼の出演したオペラのように堂々していて圧倒される。 例の「マルゲリータ」が舞台上の美しき女王さまとすれば、「黄金のピッツァ」はまさしく相手役の王か騎士かに譬えられるかもしれない。 しかし、聞くところにによるとマルゲリータ様の店は、レシピ騒動には加わらず、孤高の美味しさを提供しているよし・・・・ #
by cantare-so
| 2004-08-22 11:50
| イタリアン
いつもせっかちな私は、季節の先取りで、夏の最中でも秋の茸を食べる事をよく夢見ている。
幸せなことに、今年、早くも夏松茸を口にする機会に恵まれた。 何年か前のローマも、早い時期から長い夏がいつまでも続き、とても7月の終わりでは、ポルチーニは無理だろうとあきらめていた。ナッィオナーレの通りから路地に曲がり、緑の中庭のある小さなレストランを覗くと、山盛りのポルチーニ。ころんとして豚に似ているので、こんな名前がついた茸だと思い出し、思わず笑みが口元に。 シンプルにソテーしてもらい、塩味だけのイタリア松茸を、額に汗してその香りと歯ざわりを楽しんだ事をよく思い出す。初秋から晩秋まで楽しめ、フランスのセップ茸、ドイツのシュタインピルツとも同じ仲間だが、ポルチーニはまた少し違うように感じる。 日本の松茸も産地によって、風味が違ってしまうのと同じなのかもしれない。 #
by cantare-so
| 2004-08-14 11:51
| イタリアン
夏のドイツに出かけて楽しみなのは、何と言ってもプフェッファーリンゲンを食べる事。八月から十月初旬にかけて出回る、あんず茸の料理はヘルシーで、とても美味。
オムレツやシュニッツェルの付け合せに最高だが、シンプルなサラダにして、少し酸味のある白ワインを飲めば、暑さに弱い私にも爽やかな秋風が口の中に吹いてくる。 ミュージカル「学生王子」の舞台で有名な、大学の街ハイデルベルグの木陰のあるレストランから、ネッカー河と古城眺めながら、ゆったりと流れていく時間に身をまかせていたい。 さて陽が落ちてきたので、ツム・ローテンオクセンまで古い町並みを歩いて、「もう一杯飲みに行こう」と、ひとりごと・・・ #
by cantare-so
| 2004-08-08 11:52
| ドイツ
手打ち蕎麦で町おこしをしている秩父に、私の父の墓参で行くことが多い。
何軒かはしごをするのも、楽しい時間だ。しかし暑い夏の日には、天然氷のかき氷の味と舌触を、父の思い出話を咲かせながら味わうのは、最高の幸せの一つです。 週末には車が列をつくる程の、製氷元の甘味の人気店だが、全国的にもほとんど唯一で卸もしているようだ。暖冬や環境の激変で、この先いつまで食べられるのか少し心細くなります。 冷たい水は最高の美味だと、思うことがあります。 残雪の雪渓で、氷あずきもなかなか良いものですが、環境の事を考えると、少し舌にのせる量を減らさなくてはと考えたりします。 四十数年登り続けている。穂高の変わり方にも寂しさを感じる事がやはり多い。涸沢本谷は、丸太橋から立派なつり橋に変わったが、あそこの水場は飲料不可になってしまった。 合宿の重い荷物を担いだ登り下り、岩登りの帰り道、空腹で動くと音を立てるほど腹一杯飲んだ、あの冷たいなんて言えないほど冷たすぎる水は、もう飲めない・・・ #
by cantare-so
| 2004-08-01 11:53
| 和食
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